ルオー名画の謎展

「ジョルジュ・ルオー名画の謎展」を見に言行ってきました!
パナソニック汐留ミュージアムHP。
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/12/120407/

ルオー名画の謎展_f0162368_16355195.jpgギャラリートークに参加してきました。

そのレポです。

修復作業を通じて判明してきたことが紹介されているそうです。

急げ~!と雨の中猛ダッシュ!

会場にはすでに20~30名いました。
ジョルジュ・ルオー。14歳で、ステンドグラス職人に弟子入り。その影響か太い線のキリスト像や人物画が特徴。その後、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)に入学。そこでマティスなどと出会う。キャンパスではなく、紙に書く人。

以下、簡単にレポします。
えらい人の挨拶:ルオーはパリ生まれ。ギュスターブモローの指導を受けた。2007年時、松下電工の時のミヨシ会長がルオーが大好きだった。
汐留ミュージアム学芸員(若い女性):この展覧会は、(1)色・(2)形・(3)調和、の3つのテーマの謎からなっています。

ルオー名画の謎展_f0162368_16384097.jpgまずは色、青です。
◎ルオーは青を使いますが、元となる絵はこれではないかと推測しました。これです。ブルターニュの海の青の絵です。海が迫ってくる様子です。父親がブルターニュ出身で、ルオーも14歳の時に旅をしています。ここに2種類のライトスイッチがあります。こちらの方が青が引き立ちます。絵によってライトを変えます。
◎次はこちら、太い輪郭線の女性です。ルオーはステンドグラスの工房で働いていました。修復です。教会、宗教の関わりが強いです。熱心なクリスチャンでした。
◎次はこちら、グッセマニです。唯一のキャンバスでかかれたものです。キリストの光彩があります。古典的です。エコールデボザールで伝統を下地に、ギリシャを参考にしたものです。
◎その5年後に描かれた物がこちらです。森の絵です。紙にパステル、木炭です。朝焼け前の光でしょうか?光を見て下さい、紙の質感を活かしてあるので、あまり描いていません。白いままです。紙を選んだのは、光の表現を活かせるからでしょうか?(お金がなかったとも。)
ちなみに、ここにスイッチがあります。2種類のライトを用意しました。暖色系と寒色系です。暖色系を当てると絵が沈みます。白っぽい光の方が、木々や空が良く見えます。
◎版画も多いです。全58作あります。第二次世界大戦と父の死により版画の作成に取りかかります。その同時期に4作の絵を描いています。『ユビュおやじの再生』です。ボラールと共に制作します。彼はレユニオン生まれ。植民地支配の批判でもあります。アフリカの植物、人体など。バラバラではなく、本で出版しました。それがこちらです。お金がある裕福層は、装丁をして、自分だけの唯一の本にしていたのがステータスでした。
◎こちらに石版画数点があります。ですが、左端の2点のみが完成品の1歩手前です。残りは途中のものや試し刷りです。校了のサインは「Bon à tirer」です。

2番目に、形の謎です。
◎ルオーの娘が作品を管理してきましたが、娘さんも数年前亡くなり、孫がパリにルオー財団を創りました。作品を整理しました。
◎手が長く、丸いお腹、いままではデフォルメされた形だと思ってきました。フランスの教会の柱に、同じような手の形をした彫刻がありました。ひょっとしてこれを参考にしたのではないか。エジプトの像もです。学校で伝統の教えで学んだのではないか。
◎面長の顔に長い鼻が特徴ですが、元になった絵は私はこれではないかと思います。(おおっ、なるほど、私もそれが正しいと思いマス!が、ただの版画かと思われているのか、本にもネットにもなく・・orz コレクションしてる全作品を本にしてくれないかのう。)
◎ちなみに、肖像画に初めて歯を描いたのはルオーではないかと言われています。

3番目に風景の形です。次の展示室へ。
◎道、立つ人・垂直に立つ物(塔やマストなど)、太陽(または月)が調和しているのが特徴です。水平、垂直、丸の調和です。
◎ちなみに、この部屋の上のライトも本日は変えています。時間によっても変えます。(この日は外が雨で暗かった)
◎マティスとは死ぬまで文通を続けています。
◎紙に描いているので、イーゼルではなく、テーブルに紙を置き、立って描いています。なので、作品を上に上に重ねています。作品の上に作品がある状態です。なので、裏は絵具だらけです。
◎医者になった息子からもらった手術着を着て描いていました。
◎アトリエには時計が有りませんでした。窓からリヨン駅の時計が見えたからです。今もアトリエはあります。リビングは財団が使っています。(うおー!リヨン乗り換えの時にアトリエに立ち寄れば良かったたぁぁぁ!!!)
◎こちらに同じ構図の版画と油絵があります。油絵の方はオレンジの光彩があります。完成度を高めています。
◎サインのないままアトリエに残された作品も多く有ります。その為に、裏にアトリエルオーのハンコと、イザベルの直筆サインがあります。この2点で本物と分かります。(裏側の展示もあり。へぇーたしかに二つのサインが。しかも絵具だらけの隙間に。隙間が無い時は絵具の上に描かれてある。面白ーい。裏の様子も本にしてよーって駄目か。ニセモノが作られてしまう。。)
◎この絵は、厚さ2cmあります。(ええ!!)納得いくまで塗り続けられます。10年かかったものもあります。
◎こちらに小さい作品が並んでいますが、当時の会長のミヨシ氏が「まとめてあるからこそ価値がある」と、購入したものです。
◎ボザールはセザンヌを売って大成功した人です。ルオーの孫は修復の仕事をしています。

最後は質問コーナー。おいら「額が特徴的で気になるんですけど。」すんごく気になる額があった。太い黒に、金の楕円と棒に、手書きの葉みたいな文字みたいな模様。
学芸員さん:これは私どもが買ったものではないです。もともとついていたものです。前に所有していた画廊の趣味かと思います。(へぇー。)
最後の展示はお皿に塗った絵具。すんごい厚塗り。こりゃ乾かないはずだ。。

売店で本とポストカード買った。
ロビーに、孫による修復の様子が映像で流れていました。
孫:こうして絵を見ていると、祖父の気持ちが分かります。この絵を見て下さい。最初は年老いた女性だったのが、天使になっています。年をおうごとに色彩もカラフルになっています。最初は戦争中だったからでしょう。(なるほど。私達は戦争を体験していないから、その悲しみの色や気持ちが分からない。)

撮影禁止だったので、画像なくてすんません。特に試作品はネットにもでてこず、本にも載ってないし。百聞は一見にしかず、これだからアートは現地で見ないと分からないね。

作家の時代背景・制作風景・思想がてんこもりの展示でした。
by riko_graph | 2012-05-05 16:51 | アート(美術館画廊とか) | Comments(0)

rikoです。アラフィフ。グラフィックデザイナー。絵とか旅行とか。お酒は飲めないのでランチとか。中国語(北京語)とフランス語。


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